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TOYOTA GAZOO Racing GR86/BRZ Cup2023 Rd.2 AUTO POLIS

RACE REPORT

TOYOTA GAZOO Racing GR86/BRZ Cup2023 Rd.2 AUTO POLIS

TOYOTA Gazoo Racing 86/BRZ Race

練習走行から専有走行までは地頭所選手が好調さを示したものの
ワンデイの予選と決勝レースは3台とも苦戦。その中でも堤選手が9位でポイントを獲得する

Qualifying #7/8th/2’07”644・#700/15th/2’07”877・#770/20th/2’08”142

2022年の昨シーズンから新型車両で競われることとなった「TOYOTAGAZOO Racing GR86/BRZ Cup 」の今季第2戦が、阿蘇の外輪山に位置する大分県のオートポリスで開催された。
T by Two CABANA Racingは昨シーズンと同様の3台体制で、国内のトップドライバーが集結するプロフェッショナルシリーズに参戦。7号車にはチーム在籍6年目となる堤 優威選手を起用し、700号車は昨年の鈴鹿サーキット戦で表彰台に登っている地頭所 光選手、770号車にはポルシェ・カレラカップ・ジャパンなどで活躍してきた山田 遼選手が乗ることとなり、今季はこれまで以上に若手ドライバーの育成を意識した体制をしいている。
昨シーズンは新型車両への移行期間を設けたために5大会6戦のシリーズ戦となり、オートポリスでの開催は見送られていた。そのため、GR86/BRZCupとしては初めてのレースとなる。今戦は予選と決勝レースを一日で実施するワンデイレースとなっていて、6月11日(日)の10時から予選、14時30分から10周の決勝レースが行なわれた。

オートポリスはコースの舗装が他のサーキットとは異なり、タイヤへの攻撃性が高いといわれている。普段、練習走行の機会を設けにくいコースでもあるので、チームは6月7日(木)から走行テストを開始した。7日は朝から雨が降るあいにくの天候となるが、数枠のスポーツ走行があった。昼前になると雨量も多くなり、走行を続けるとトラブルのリスクが高くなるため、午前中で走行テストを終えることにした。
2日目となる8日(金)は、前日とは異なり午前中から日差しが照り付けた。レースウィーク2日目は4本の走行枠が設けられていて、3台のマシンはまずはユーズドタイヤで路面状況やセットアップの確認を行なう。午後になるとさらに日差しが強くなり、気温は30℃、路面温度は40℃に迫る夏日となたった。7号車はサスペンション、770号車はディファレンシャルギアを替えるなど想定外の作業はあったが、それぞれのメニューを消化して2日目を終えた。
今戦はワンデイレースなので、10日(土)もスポーツ走行と専有走行が実施された。予選や決勝レースへの手応えも掴みつつあり、700号車の地頭所選手がどちらのシミュレーションでも好調さを示す。14時15分からは公式なプログラムとなる「TRA専有走行」が行われ、3台ともにニュータイヤでのアタックを実施し、地頭所選手が32台中4番手となる2分7秒476、エースの堤選手はストレートスピードが伸びない症状に見舞われ2分7秒957で12番手、山田選手は練習走行よりもタイムアップを果たすが2分8秒052で17番手となった。

TOYOTA GAZOO Racing予選 堤 優威選手が乗るADVICS CABANA86 7号車

CABANA Racing

TOYOTA GAZOO Racing走行テスト中 地頭所 光選手が乗るADVICS CABANA86 700号車

CABANA Racing

迎えたレースウィークの最終日となる11日(日)は前日からの降雨により路面はウエットコンディションとなる。だが、併催レースの予選が始まるタイミングには雨が止み、路面コンディションは徐々に回復していくことが予想された。チームとしてはウエット、ドライのセットアップともに取れる状況で予選へ挑んだ。時間が進むと天候は好転していき、プロフェッショナルシリーズの予選が始まる10時にはほぼドライコンディションとなる。3台はコースオープンとともにアタックを開始する。好調だった地頭所選手は前日に比べてアンダーステア傾向が強くなったことで本来のパフォーマンスが発揮できずタイムは2分7秒877、マシンが本調子に戻らなかった堤選手だが2分7秒644、セクター3でミスがあったという山田選手は2分8秒142。結果として堤選手は8位、地頭所選手は15位、山田選手は20位の予選結果となった。
常に予選はコンマ1秒の戦いとなるが、今回の予選はトップから22番手までが1秒以内と少しのミスも許されない厳しい展開となった。

TOYOTA GAZOO Racing決勝

CABANA Racing

Final #7/9th/21’59”048・#700/26th/22’16”250・#770/19th/22’09”750

TOYOTA GAZOO Racing決勝 走行中の堤 優威選手が乗るADVICS CABANA86 7号車

予選終了後も天候は不安定で、時折サーキットの上空を雨雲が通過して路面を濡らしていった。13時前にはクラブマンシリーズの決勝レースがスタートし、路面は一部がウエットコンディションだったものの走行ラインは乾いていた。だが、クラブマンシリーズのチェッカー後にも降雨があり、車両のセットアップを決めるのが難しい天候となる。
14時15分になるとスタート進行が始まり、プロフェッショナルシリーズの決勝レースに出走した32台がスターティンググリッドに並ぶ。この時点で路面は乾きはじめていたため3台ともにドライコンディションと同じセットアップで挑んだ。

10周の決勝レースは14時35分にスタートする。3台ともにスタート後の加速で後続車に抜かれてしまい1コーナーまでにポジションを下げる。続く第1ヘアピン前の複合コーナーで先行していたマシンが挙動を乱したため、接触を避けた地頭所選手がコースオフを喫し、後方までポジションを落としてしまう。1周目のコントロールラインを通過した時点で、堤選手は9番手、山田選手は19番手、地頭所選手は31番手で2周目に入った。
2周目には堤選手が自己ベストタイムの2分10秒596をマークするがライバル勢には及ばず、前日からのマシントラブルが回復していなかった。レース序盤は8番手を走っていた昨年のシリーズチャンピオン冨林勇佑選手を追ったが、中盤からは離されてしまい、8周目には後方から追い上げてきた160号車の吉田広樹選手にパスされて10番手に後退。それでも9周目に先行していたマシンがトラブルのためにピットに入り9番手となり、10周目に9位でチェッカーを受けた。
序盤のコースオフで大幅にポジションを下げた地頭所選手だったが、ラップタイムは上位陣と遜色なく先行していたマシンを周回ごとにパスしていく。それでも1周目のロスタイムは大きく、10周目に26位でゴールした。
20番手からスタートした山田選手は、3周目に自己ベストタイムの2分11秒258をマークし中団グループのバトルでポジションを上げるが、後半はタイヤのグリップダウンによって後方からプレッシャーを掛けられる。それでもポジションを守って19位でレースを終えた。

第2戦のオートポリスは、読みにくいコンディションやマシンの不調などによって3台ともに望んでいたリザルトとはならなかった。難しい状況でも結果を出しているチームはあるので、今回の反省点を踏まえ次戦のモビリティリゾートもてぎ戦へ準備を進めていく。

TOYOTA GAZOO Racing決勝 走行中の堤 優威選手が乗るADVICS CABANA86 7号車のバックショット
COMMENTS
  • カバナレーシング チーム代表兼監督 安藤宏

    Team Chairman/Director

    安藤宏チーム代表兼監督

    チームとしてリザルトを残せていないオートポリスだったので、今回こそ好結果を求めていました。専有走行では地頭所選手が速さを見せてくれましたが、予選と決勝レースの結果を考えると3台ともにパフォーマンス不足だったと思います。その中でも堤選手は粘り強く戦ってくれて、2ポイントを獲得できました。山田選手も徐々にプロフェッショナルシリーズに慣れてきて、堅実なドライビングをしています。今回はパフォーマンスの高いマシンを用意できず申し訳なかったですが、次戦は3台ともにレースウィークを通して上位を走れるように気を引き締めていきます。引き続き、チームへのご支援と応援をお願いします。

  • 堤 優威選手

    Driver

    堤 優威選手

    今回は練習走行からトップを狙える状況ではありませんでした。それでもチームが足まわりやエンジンの不調などの原因を探ってくれ、さまざまな対策を施してくれました。ただ、予選と決勝レースともコンマ数秒ですがライバル勢に対して遅れをとっていて厳しいレースウィークでした。シーズンを通してみると厳しいレースはあるはずなので、その環境において予選で8位、決勝レースで9位となりポイントを積み重ねられたことは良かったです。次戦までにマシンの状況を見直して、また表彰台争いができるようにしていきます。

  • 地頭所 光選手

    Driver

    地頭所 光選手

    今戦は練習走行から良い感覚で走れました。予選と決勝レースのシミュレーションでも上位に入っていたため、自信を持って予選に挑みました。ただ、前日の専有走行とコンディションが変わっていて、セットアップが合わず全体的にタイムロスを喫してしまいます。予選のセットアップについては、もっと慎重になるべきでした。決勝レースは1周目に接触を避けてポジションを下げ、上位への進出は難しくなりました。専有走行までは良い流れだったため、結果をみると非常に悔しいレースでした。次戦はレースウィークを通して調子を維持できるように、エンジニアリング面も含めて考えたいです。

  • 山田 遼選手

    Driver

    山田 遼選手

    開幕戦に比べると走り出しから感触は悪くなく、まわりの選手とのギャップも縮まっていました。予選では3台とも同時にアタックしていきセクター1と2ではほぼ同じタイムでしたが、セクター3でオーバーステアが出てタイムロスしてしまいました。予選順位が重要なレースでのミスで、決勝レースも難しい展開となりました。決勝レースのリザルトとしては開幕戦と変化がなく、ドライビング面も含めてもっと煮詰めて行く必要があると感じています。また、セットアップをどのように詰めていくかのリクエストができていないので、車両への理解度も深めていく必要があると感じています。

  • カバナレーシング チーフエンジニア 山崎登

    Chief Enginner

    山崎登チーフエンジニア

    オートポリスは以前から天候や路面コンディションに翻弄されるイメージがあり、セットアップとドライビングを合せ込むのがもっとも難しいコースのひとつです。レースウィークは木曜日から走り始め、ウエットもドライも走ることができタイヤの内圧調整などは把握できていました。ただ、予選と決勝レースともにコンディションが目まぐるしく変わっていき、セットアップが迷走したことも事実です。結果的には堤選手が不調の中でも9位でポイントを獲ってくれました。地頭所選手は専有走行ですが、本来の速さを見せてくれました。山田選手は経験が少ないなかでも堅実なレースだったと思います。次戦は望んだ結果が得られるように、しっかりと準備していきます。