TOYOTA GAZOO Racing GR86/BRZ Cup2022 Rd.4 SUZUKA
Qualifying #7/2nd/2’26”477・#700/11th/2’27”037・#770/DNQ/3’09”176
今季から新型GR86/BRZ にマシンをスイッチし、レギュレーショ
ンも大幅に変更しリニューアルされた「TOYOTA GAZOO Racing
GR86/BRZ Cup」。ニューマシンを導入するための準備期間を設けた
ことで開幕戦が7 月となり、今季は5 大会6 戦のシリーズで競われ
ることになっている。
「T by Two CABANA Racing」は2018 年より前身となる86/BRZ Race
のプロフェッショナルシリーズに参戦し、今季はシリーズ参戦5 年
目となる堤優威選手が7 号車に、経験豊富な阪口良平選手が700 号
車に、そして若手ドライバーの石坂瑞基選手が770 号車に乗り、3 台
体制でGR86/BRZ Cup を戦うこととなった。
7 月に開幕したGR86/BRZ Cup は毎月1 大会が実施されていて、 第4 戦は鈴鹿サーキットが舞台で10 月29 日(土)に予選、30 日(日) に決勝レースが実施された。前戦の十勝スピードウェイでは7 号車 が専有走行時にクラッシュを喫し、車両は修復が不可能となってし まった。チームは急遽、代わりのマシンを用意するために奔走し、レ ンタルという形で競技車両の手配ができた。チームは僅かな期間の 中で新たなマシンを仕立て、鈴鹿サーキットに3 台のマシンを並べ た。
CABANA Racing
CABANA Racing
レースウィークは27 日(木)から練習走行をスタートし、初日は2
本のスポーツ走行枠があり、まずは持ち込みのマシンセットやコー
スコンディションを確認。今戦からブリヂストンの「POTENZA
RE-09D」がプロフェッショナルシリーズでの使用認定を受け、3 台と
R A C E R E P O R T ♯7/2nd/2’26.411・♯700/11th/2’27.037
♯770/DNQ/3’09.176
もニューモデルを履いて戦うこととなった。
28 日(金)は9 時30 分と11時から30 分間のスポーツ走行枠があ
り、11 時からの枠はタイム計測が行なわれる専有走行となってい
た。7 号車の堤選手は2 分26 秒805 で2 番手、700 号車の阪口選手
は2 分27 秒059 で5 番手、770 号車の石坂選手は2 分27 秒798 で
16 番手となり、新作タイヤの威力が発揮される結果となった。
開幕戦から天候不順が続いたGR86/BRZ Cup の予選だが、今回は
快晴のもとで行なわれる。29 日の10 時50 分から15 分間で実施さ
れた予選は、気温24℃と10 月末にしては暖かく、長袖では汗ばむコ
ンディションとなった。
10 時50 分のコースオープンとともに堤選手と阪口選手はアタッ
クを開始。堤選手はセクター1、2 で全体ベストタイムを刻むと2 分
26 秒411 と前日のタイムをさらに削った。阪口選手は車両のセット
アップが合なかったことと、ややまとめきれない部分があり2 分27
秒037。石坂選手は2 台のマシンとは異なり、15 分間の予選時間の
最後にアタックを行なう。全セクターで専有走行のタイムを更新す
ると2 分26 秒736 をマークして6 番手と計測モニターに表示され
た。結果として、堤選手はフロントローの2 位、阪口選手は11 位、6
位 に入ったと思われた石坂選手だったが、アタックラップの4
輪脱輪
によってベストタイムが抹消されてしまう。ウォームアップラップ
のタイムが予選通過基準を超えてしまったため、嘆願書を提出し最
後尾から決勝レースをスタートすることとなった。
CABANA Racing
Final #7/1st/19’51”497・#700/10th/20’02”287・#770/30th/20’33”983
決勝レース日となった10月30日(日)も好天となり、今回のレー スウィークは全セッションがドライコンディションでの走行とな った。8周の決勝レースは予定通りの10時25分にフォーメーショ ンラップが開始される。フロントローの2番手に並んだ堤選手 は、抜群のスタートダッシュでポールポジションの菅波冬悟選手 に並びかける。菅波選手は斜行してブロックラインを通るが堤 選手も引かず、1コーナーまでに先行した堤選手がホールショッ トを奪った。トップに立った堤選手は後続を引き離したいところ だったが、1周目が終了したコントロールラインでの2番手との差 はわずか0.3秒。2周目のコントロールラインでも0.3秒差のまま で、3周目になると0.6秒とわずかにギャップを拡げた。ただ4周目 になると2番手が160号車の吉田広樹選手に入れ替わる。中盤を 過ぎると堤選手のペースが鈍り、2番手とのギャップが周回ごと に縮まっていく。最大0.8秒あった差が7周目の時点では0.1秒差 となり、テールトゥノーズに迫られる。だが、ファイナルラップに は持てる力をすべて発揮しギャップを拡げてトップチェッカーを 受けた。堤選手の優勝はシリーズ戦では2018年の第2戦SUGO 以来で、GR86での嬉しい初優勝となった。
11番手からスタートした阪口選手はメカニカルな問題のため に1コーナーまでの加速区間でポジションを下げてしまう。それ でも混戦の中盤グループの中で安定した走りをみせ、徐々に先 行するマシンとの差を縮める。4周目にはポジションを上げてス タート順位の11番手に戻す。タイヤのピークグリップを超えたは ずの5周目には自己ベストタイムの2分29秒421をマークし、さら に上位を狙った。だが、抜き切ることができず11位でチェッカー を受けた。正式結果ではペナルティを科された選手がいたこと で10位となりポイントを獲得した。
予選でのタイム抹消により最後尾からスタートした石坂選手
は、1ポイントが付与されるファステストラップを狙う作戦を採っ
た。オープニングラップに先行するマシンと間隔を空けると、2周
目に作戦を実行。2分27秒929とトップを走っていた堤選手より
も0.7秒速いタイムをマークするが、3番手走行の選手が2分27秒
748のタイムを記録し、わずか0.2秒の差でファステストラップを
逃した。その後は、安全に走行を重ねて8周目に31番手でチェッ
カーを受ける。正式結果ではペナルティを受けたマシンが後方
に下がったために30位となった。
3戦目まではニューマシンのポテンシャルを引き出せない状況
が続いたが、今回の予選では3台ともにトップ10内に入る可能性
があるほどの好走をみせた。そして堤選手はフロントローから優
勝を果たし、ポイントランキングはトップと9ポイント差の2位に
浮上した。次戦の岡山は早くも最終戦となるが、週末に2戦を実
施するダブルヘッダーのため最大で44ポイントが獲得できる。今
戦の好調さを維持し、最終戦では3台ともに活躍することを期待
したい。
COMMENTS
Team Chairman/Director
安藤宏チーム代表兼監督
前回の十勝で車両を損失するという緊急事態に際し、多くのご支援をいただき3台のマシンを鈴鹿サー キットへ持ち込むことができました。お力添えをもらったすべての皆さまに感謝申し上げます。このよう な厳しい状況のなかでの優勝は格別で、スポンサー様各位や関係者の皆さまへの僅かなお返しができ たことを安堵しています。また、今戦から導入されたPOTENZA RE-09Dのデビュー戦に花を添えること ができ光栄です。今回の結果で、堤選手はポイントランキングも2位ということで次戦ではチャンピオン を狙う走りを、阪口選手も得意な岡山での好走、石坂選手は今回の予選でドライでも上位を走れる可能 性を見せてくれました。最終戦は3台ともに好成績を残せるよう努力を続けていきます。
Driver
堤 優威選手
前戦のクラッシュによりマシンを失い、チームや関係者の皆様に多くの迷惑をかけてしまいました。 短い期間の中で新しいマシンを用意してくれた皆様に感謝しています。挽回したいという思いと、今回 はPOTENZA RE-09Dのデビュー戦だったので絶対に結果を残したいと挑みました。それが優勝とい う最高の形になり良かったです。レースウィークは走り出しから好調で、上位に入れる自信はありまし た。専有走行、予選とともに2番手で、決勝レースはスタートで前に出られれば優勝できると思ってい て、まさにその展開となりました。久しぶりの優勝でシリーズランキングは2位となったようで、次戦の 岡山でも連勝を狙いたいです。
Driver
阪口 良平選手
今回からPOTENZA RE-09Dを履き、内圧設定も含めてパフォーマンスを引き出せたと思います。専有 走行ではトップと約0.3秒差の5位で予選ではさらに上を狙ったのですが、少しセットアップが合ってい ませんでした。決勝レースではメカニカルな問題でスタートポジションを守れませんでしたが、良いペ ースで追い上げることができ、結果的には10位でポイントを獲得できました。個人的には満足できる リザルトではないですが、チームとしては3台が同じタイヤパッケージとなり、多くの活かせるデータが 取れたと思います。次回は早くも最終戦ですが、得意な岡山なので上位入賞を目指して挑みます。
Driver
石坂 瑞基選手
今回は第3戦まで使用していたマシンから変更しての参戦となりました。走り出しはエンジンなどを 含めてやや重たい印象でしたが、走行を重ねるごとに状況は改善しました。また、今回から使用した POTENZA RE-09Dは乗りやすく、走り方をタイヤに合わせる必要がなく徐々にパフォーマンスを引き 出せるようになりました。予選でのタイム抹消は自分のミスでチームに申し訳なく思っています。決勝 レースではファステストラップを狙いにいきましたが、ギア選択に迷うところがありコンマ2秒足りませ んでした。結果は予選でのミスがすべてでしたが、ラップタイムは良かったので岡山では期待できる と思います。
Chief Enginner
山崎登チーフエンジニア
まずは十勝でのクラッシュから僅かな期間で3台をサーキットに持ち込むことができホッとしまし た。また今戦はPOTENZA RE-09Dの実戦導入となり、キーポイントはいかに使い方を身につけるか だと思っていました。幸い持ち込みのセットアップが合っていて、3台ともタイヤのパフォーマンスを 引き出すための作業に走行時間を費やせました。結果として堤選手が優勝し、阪口選手も10位、石 坂選手は予選のタイム抹消がなければ上位に入れていたはずです。今戦はタイヤが変わったことも ありますが、セットアップも含めてチームとしてGR86の理解度が進みました。優勝して雰囲気も良 いので、最終戦では3台ともに上位に入れるよう準備していきます。