PAGE TOP

TOYOTA GAZOO Racing GR86/BRZ Cup2022 Rd.1 FUJI SPEEDWAY

RACE REPORT

TOYOTA GAZOO Racing GR86/BRZ Cup2022

TOYOTA Gazoo Racing 86/BRZ Race

経験豊富なベテランと2名の若手ドライバーの3台体制で
新生GR86/BRZ Cupのプロフェッショナルシリーズに挑む

Qualifying #7/23th/2’14”800・#700/28th/2’15”436・#770/17th/2’14”215

2013 年にスタートしたTOYOTA86 とSUBARU BRZ のナンバー 付き車両を使用したワンメイクレースの「TOYOTA GAZOO Racing 86/BRZ Race」。昨シーズンまでの9 年間で計78 戦が実施され、大 会によっては150 台を超えるエントリーを数えるほどの人気カテ ゴリーとなった。
競技車両のベースとなる86 とBRZ は、2021 年に2 代目へフルモ デルチェンジ。そのため今季から新型のGR86 とSUBARU BRZ(型 式:ZN8/ZD8)を使用した「TOYOTA GAZOO Racing GR86/BRZ Cup」 としてレースが生まれ変わることとなった。ベース車両の変更とと もにレギュレーションも見直された。86/BRZ Race ではチームが自 ら選べるのは「タイヤ」「ブレーキパッド」「ホイール」「シート」「油脂 類」などごく一部のパーツのみで、イコールコンディションが保た れていた。しかし、GR86/BRZ Cup ではサスペンションやマフラー、 冷却系などが主催者の認定部品として追加されたことで選択肢が さらに増え、よりマシンをセットアップできるドライバースキルや チーム力が試されるレギュレーションとなった。

 86/BRZ Race の当初からCABANA Racing として参戦を開始し、 2018 年シーズンからはチームの母体となる株式会社東名の社員ド ライバーとなる堤優威選手を起用するとともに「T by Two CABANA Racing」として新たなチーム体制で激戦のプロフェッショ ナルシリーズを戦ってきた。
 新たなGR86/BRZ Cup には、堤選手に加えて2019 年シーズンに T by Two CABANA Racing よりスポット参戦した経験豊富なベテラ ンドライバーの阪口良平選手、そしてジュニアフォーミュラやスー パー耐久などでのレース経験はあるがツーリングカーのワンメイ クレースは初となる石坂瑞基選手の3 名を起用。参戦する3 台のマ シンは、7 号車の「T by Two カバナ BS GR86」に堤選手、700 号車の 「MOTUL TWS GR86」に阪口選手、770 号車の「FORCE LABO カバナ GR86」に石坂選手が乗り、これまで通り多くのサポートや部品協賛 を受けて2022 年の5 大会6 戦にエントリーする。

スポーツランドSUGOレースの様子

CABANA Racing PIT

T by2 CABANAレーシングピットの様子

CABANA Racing #7

 ベース車両の製作スケジュールなどの都合でシリーズ開始が7 月となったが、それでもチームにマシンが届いたのは5 月中旬で、 車両製作やテストなど慌ただしく開幕戦を迎えた。6 月下旬に岡山 国際サーキットでシェイクダウンテストは行なえたものの、チーム とドライバーとも車両への理解度は不足していて、難しい状況のな かでいかに戦闘力の高いマシンを仕立てるかがキーポイントとな った。
 開幕戦の舞台は富士スピードウェイで、7 月16 日に予選、17 日に 10 周の決勝レースが実施された。チームは7 月13 日から走行テス トを開始し、3 台ともに限られた時間の中でセットアップを煮詰め て行く。15 日には主催者による専有走行でタイム計測が行なわれ、 7 号車は2 分13 秒735 で6 位、700 号車は2 分15 秒301で27 位、 770 号車は2 分13 秒969 で9 位となった。

 専有走行もウエットコンディションでの周回となったが、予選は より雨量の多いなかでの実施となり全車が20 分の予選時間をフル に使ってタイムアタックを行なった。7 号車は計測5 周目に2 分14 秒800 をマークするが、路面状況とセットアップが合わずピットに 入り調整したがタイムアップできず23 位となる。700 号車は練習 走行から車両トラブルが発生していて、手負いの状況での走行で2 分15 秒436 をマークし28 位、770 号車は徐々にタイムを上げて計 測9 周目に2 分14 秒215 をマークし17 位となった。

CABANA Racing

Final #7/9th/21’02”805・#700/23th/21’10”998・#770/37th/17’13”256(17’13.256+40sec)

第3戦オートポリスラウンドの決勝レースの様子

7月15日の専有走行、16日の予選とウエットコンディションが続い たが、17日は早朝から富士スピードウェイは曇り空となった。路面 は一部が濡れているもののプロフェッショナルシリーズの決勝レー スが実施されるころには完全なドライコンディションになることが 予想された。GR86/BRZ Cupプロフェッショナルシリーズの開幕戦は予定通り の12時30分にフォーメーションラップがスタートし、39台のマシン により10周のスプリントレースの幕が切られる。

7号車の堤選手は抜群のスタートダッシュと的確なライン取りに よってオープニングラップで23番手から17番手に浮上する。2周目に も1台をパスして16番手となると、トップ10圏内からわずか数秒の ギャップで追走していく。序盤からサイドバイサイドの激しい戦い が繰り広げるなかで堤選手は冷静に状況を見極めていく。5周目に は14番手まで順位を上げると6周目にはベストタイムとなる2分4秒 417をマークし、さらに1台をパス。8周目にも1台をパスしトップ10に 肉迫する11番手まで浮上する。そして11番手のままファイナルラッ プに突入すると、先行するマシンにプレッシャーを掛け、最終コー ナーで2台をパス。そのままリードを保ち9位でチェッカーを受け た。23番手スタートから実に13台をパスし、GR86/BRZ Cupの開幕 戦をポイント圏内の9位で終えた。

専有走行からマシンの不調に見舞われた700号車の阪口選手 は、決勝レースでも回復せず厳しいレースとなった。1周目に1台を パスするがホームストレートでチェックランプが点灯する状況とな り、ポジションをアップしていくには危険と判断。完走してデータを 取ることを優先する戦略とした。後半の8周目には2分5秒382を マークしベストタイムを更新するが本調子には戻らず10周目に23位 でチェッカーを受けた。

初レースとなった770号車の石坂選手は1コーナーまでに数台に 抜かされると、コーナー進入時に接触され大きくポジションを落と してしまう。オープニングラップを27番手で終えると、2周目と3周目 にも1台にパスされて29番手まで順位を下げる。1周目の接触により マシンはダメージを受けたが、5周目には2分5秒529の自己ベストタ イムをマーク。しかし、29番手を走行していた8周目にミッショント ラブルが発生し、ピットにマシンを戻す。正式なリザルトでは完走扱 いとなったが、激しい戦いが繰り広げられるワンメイクレースの厳 しい洗礼を受ける結果となった。

レースカーの製作開始からわずか1ヶ月半ほどの期間で開幕戦を 迎えることとなり、チームもドライバーも準備不足が露呈する結果 となった。満足するリザルトを得ることはできなかったが、レース ウィークを通してマシンへの習熟度は増した。8月20日-21日にス ポーツランドSUGOで開催される第2戦までには、適切なセットアッ プやドライビングを見つけ出し、3台ともに好成績を残せるように チーム一丸となって準備を進めたい。

ADVICS CABANA86レースの様子
COMMENTS
  • 安藤宏チーム代表兼監督

    Team Chairman/Director

    安藤宏チーム代表兼監督

    多くのスポンサー様や協賛メーカー様の支援を受けることで新生GR86/BRZ Cupに3台体制で参戦する ことができました。関係者のみなさまに感謝申し上げます。レースは準備不足によって厳しい展開とな りました。そんな中でも堤選手は決勝レースで9位まで順位を上げてポイントを獲得しました。ドライバ ーとしての本領を発揮してくれ、チームとしても救われました。阪口選手には本調子のマシンを届けら れず申し訳ありませんでした。デビュー戦の石坂選手は専有走行、予選で上位に名を連ねて実力を示せ たと思いますが、決勝レースでは経験不足が露呈しました。それぞれ課題はありますが、次戦までに解 決策を見つけて好成績を残せるように進めていきます。

  • 堤 優威選手

    Driver

    堤 優威選手

    事前テストと練習走行を含めてセットアップを進めていきマシンの感触は掴めていました。ただ予選 では、タイヤの内圧と路面コンディションがマッチせず予想外のタイムとなってしまいました。データ が少ないなかで最適なセットアップが出せなかったのが原因です。ドライとなった決勝レースではペー スが良く、周回ごとに先行車をパスできました。ブレーキも最後まで高いパフォーマンスを保つこと ができ、最終周でポイント圏内まで順位を上げられたことは次戦に繋がると思います。第2戦までに は新しいパーツもテストできるので、上位で戦えるマシンを作り上げていきたいです。

  • 阪口 良平選手

    Driver

    阪口 良平選手

    700号車自体は今回のレースウィークがシェイクダウンでした。他のマシンを使った岡山国際サーキッ トでの事前テストではブレーキやタイヤのフィーリングも良く、上位で戦える期待もありました。しか し、実際のレースマシンは13日の走り始めからオーバーステア傾向でトラクションも不足していまし た。セットアップを煮詰めていったのですが良い状況を作り出せず、決勝レースでは警告灯が点灯して しまいました。そのためデータを取ることを優先し、接触なく10周を走り切ることにしました。チーム としては3台体制で色々と試せる状況です。次戦まで時間はありませんが、チーム全体の底上げを行 なっていきたいです。

  • 石坂 瑞基選手

    Driver

    石坂 瑞基選手

    事前テストの岡山国際サーキットと富士スピードウェイではスピード域が異なるので、事前テストで 得た感触とやや違う印象がありました。13日、14日とセットアップを進めていくと、ようやく方向性 が掴め専有走行では上位のタイムをマークできました。予選は専有走行までのデータを元にタイヤ 内圧の調整を行ないましたが、状況とマッチしていませんでした。決勝レースはスタート後の加速が 悪く接触もあり順位を落としてしまいました。スタートの経験不足など色々と足りないところが見え たので、次戦以降に活かし成長していきたいです。

  • 山崎登チーフエンジニア

    Chief Enginner

    山崎登チーフエンジニア

    準備期間の短さやテスト不足など開幕戦で好成績を収めるためには厳しい状況でした。それでも3 台体制の強みを活かして、レースウィークでは様々なコンディションで走れました。700号車は今回 がシェイクダウンで、ブレーキ制御のトラブルが改善できませんでした。7号車と770号車は使って いるタイヤやパーツが異なるなかで、路面コンディションに対してパフォーマンスは発揮したと思い ます。開幕戦に向けて多くのパーツメーカ-やスポンサーの皆様の多大な協力によって3台での参 戦が可能となりました。改めてお礼を申し上げます。次戦以降は3台の結果でお返しできればと思 っています。