TOYOTA GAZOO Racing GR86/BRZ Cup 2023 Rd.3 MOTEGI
Qualifying #7/9th/2’13”970・#700/15th/2’14”333・#770/16th/2’14”450
昨シーズンから新型のGR86・SUBARU BRZを使用して競われることとなった「TOYOTA GAZOO Racing GR86/BRZ Cup 」の第3戦が栃木県にあるモビリティリゾートもてぎで開催された。
今シーズンのT by Two CABANA Racingは昨年同様の3台体制で、国内のトップドライバーが集結するプロフェッショナルシリーズに参戦。7号車には昨年の同シリーズで2位となったチームのエースとなる堤優威選手を起用し、700号車は昨年の鈴鹿サーキット戦で表彰台に登っている地頭所光選手、770号車にはポルシェ・カレラカップ・ジャパンなどで活躍してきた山田遼選手が乗ることとなり、今季はこれまで以上に若手ドライバーの育成を意識した体制をしいている。
昨シーズンは新型車両への移行期間を設けたためにモビリティリゾートもてぎでの開催が見送られ、GR86/BRZ Cupでは初開催となった。舞台とな るもてぎは「ストップ・アンド・ゴー」と呼ばれるレイアウトのコースで、ブレーキに厳しいサーキットとして有名。決勝レースではブレーキの性能も勝敗をわけるカギとなる。そんな、今戦は7月22日(土)の11時から予選、23日(日)の14時から10周の決勝レースが行なわれた。
CABANA Racing
CABANA Racing
チームは20日(木)から走行を開始し、3台ともにまずはユーズドタイヤを使用して持ち込みのセットアップとコース状況をチェック。GTWC Asiaやフォーミュラリージョナルが併催となっていていつもより走行時間が短いため、積極的に周回を重ねセットアップを煮詰める。21日(金)は30分間の専有走行枠が設けられ、ニュータイヤを投入して予選シミュレーションとロングランを実施。堤選手が2分14秒099で32台中4番手のタイムを記録し、山田選手は2分14秒541で10番手、地頭所選手は2分14秒567で11番手と各車手ごたえを感じる結果となった。
予選が行われた22日(土)は、関東地方の梅雨明けが発表され気温27℃、路面温度44℃の中で争われ、10時55分の予選スタートと同時に3台ともコースイン。チームトップタイムの堤選手は前日の専有走行のタイムより速い2分13秒970を記録するが全体9番手、地頭所選手はシフトミスを起こしたといい2分14秒333で15番手、山田選手は大きなミスはなかったものの思ったよりタイムを縮められず2分14秒450をマークし16番手となる。
CABANA Racing
Final #7/4th/22’52”473・#700/22th/23’22”684・#770/29th/16’20”705
7月22日(土)の予選日よりも気温が上がり朝から晴天に恵まれた中、GR86/BRZ Cup プロフェッショナルシリーズの第3戦決勝レースが10周で競われた。13時35分から始まったスタート進行は、スターティンググリッドに並んだ32台の車両と、多くの関係者やファンで賑わいをみせた。
決勝レースは予定通りの13時55分にスタートする。9番グリッドからスタートした堤選手は、順調な出だしで5コーナーまでに1台オーバーテイクしポジションを上げる。2周目には2分15秒501の自己ベストタイムを記録し、さらに1ポジションアップ。2番手争いを繰り広げる集団に追いつきプレッシャーをかけていく。4周目のバックストレートでは5番手を走る♯88井口卓人選手と6番手の♯11脇阪寿一選手に並び掛けて、続く90°コーナーに3ワイドで進入すると、イン側から脇阪選手をパスして6番手に浮上する。決勝レースの後半になっても堤選手のペースは落ちず、6周目にも1台をパスして5番手となり、7周目にはトップを走行していたマシンにトラブルが発生し、表彰台目前の4番手までポジションを上げる。その後も3番手のマシンをテールトゥノーズで追うが、抜くことはできず惜しくも4位でチェッカーを受けた。
15番手からスタートした地頭所選手は1周目の5コーナーで他車との接触により運転席側のガラスが破損してしまう。このトラブルなどで1周目のコントロールラインを17番手で通過。それでも2周目には10番手前後の選手とほぼ変わらない2分16秒347の自己ベストタイムをマークする。しかし、翌周からギアが入りづらい症状に見舞われペースが落ちはじめる。4周目には18番手までポジションを下げると、6周目には状況が悪化して24番手まで後退。その後も耐える展開となったが、どうにか22位チェッカーを受けて完走を果たした。
専有走行では10番手のタイムをマークし徐々に速さを見せ始めた山田選手は、16番手スタートだったがオープニングラップの位置取りが悪く2ポジションを下げて1周目を終える。4周目にはテールトゥノーズで並んでいた地頭所選手を抜いて16番手となり、5周目にも1つポジションを上げて15番手に浮上。しかし、7周目にミッショントラブルが発生し、4速ギアを失ってしまう。それでも走行を続けていたがトラブルが深刻になり、8周目のファーストアンダーブリッジを越えたところでマシンを止めた。結果的には規定周回数を満たしていたため29位で完走となった。
今戦はレースウィークの走行機会が少ないことや新型車両では初のコースということで、読めない部分も多くあり好不調の波が大きかった。しかし、エースの堤選手は決勝レースで5ポジションを上げる活躍をみせ、ポイントを積み重ねることができた。次戦8月19~20日に開催される十勝スピードウェイでの第4戦までに今回の反省点を踏まえ、3台が上位でレース出来る様に準備を進めていく。
COMMENTS
Team Chairman/Director
安藤宏チーム代表兼監督
今回はレースウィークの走行枠が少なく3台ともにセットアップをまとめるのに苦労していました。それでも専有走行では3選手ともにタイムを堅実にまとめることができ、予選と決勝レースに期待がもてました。ただ、予選では前日までの調子が維持できずにポジションを落とす結果となります。決勝レースは、堤選手が想像以上の追い上げで4位となり、ポイントを積み重ねられたことは良かったです。ロングランのペースが良かっただけにスタートのポジションが悔やまれます。地頭所選手と山田選手はトラブルなどがあり本領を発揮できておらず、悪い流れのレースが続いてしまいました。次戦の十勝スピードウェイはチームとして得意なコースといえます。3台ともに好成績を残して堤選手は選手権のトップ争いの主役にたてるように、そして地頭所選手と山田選手は負のスパイラルを断ち切って後半戦で活躍できるように準備していきます。
Driver
堤 優威選手
事前テストができなかったなかでは、わずか3本の練習走行で良い方向を導き出せたと思っています。予選はミスなく走りましたが専有走行よりポジションを落としてしまい、なぜコンディションに合わなくなったのかの原因を究明することが必要だと感じています。予選の結果から決勝レースも厳しい展開になると想像したのですが、ラップタイムはトップ3に入れるほど良く、スタートのポジションがもっと上位であれば表彰台に登れたかもしれません。満足できるリザルトではありませんが、開幕戦から3戦連続でポイントを獲得できているので、この調子を維持していきたいです。
Driver
地頭所 光選手
結果的には事前のテストから速いクルマを作り上げることができず、決勝レースも思うような展開となりませんでした。それでも専有走行では11番手で、ミスをなくせばトップ10圏内が見える位置で予選を迎えます。ただ、予選はシフトミスや攻めきることができず中団から決勝レースをスタートしました。オープニングラップでガラスが割れたことやミッションが入りづらいなど集中力を欠くことが多く、満足いく展開を作れませんでした。チームは再現性のあるマシンを作ってくれ、データも取れているだけに悔しい結果でした。
Driver
山田 遼選手
今回は3戦目にして専有走行でトップ10に入ることができ、徐々にですがワンメイクマシンの特性が掴めてきました。予選もトップとは1秒差ですが、今季最上位でポジティブな部分も多かったです。決勝レースは序盤のポジション取りやバトル時のミスがあって、順位を上げることができませんでしたが、ライバル勢との差は縮まっていると思います。最後はミッショントラブルを起こしてしまいチームに迷惑を掛けてしまいました。3戦目もさまざまな課題が見つかったので、しっかりと改善点を分析して次戦に繋げたいと考えています。
Chief Enginner
山崎登チーフエンジニア
今回のもてぎは、新型車両では初のレースだったためデータがなく、練習走行も少なかったので不安要素はありました。それでも短い練習走行で3選手ともにセットアップを進め、専有走行ではまずまずの状態を作り上げられたと思っています。ただ予選は選手の得手不得手が出てしまい、満足する結果とはなりませんでした。決勝レースは堤選手が見事な追い上げでポイントを持ち帰ってくれましたが、地頭所選手と山田選手は試練のレースとなりました。地頭所選手は序盤のアクシデントから車両トラブルと流れに乗れず、山田選手は良いところもあったのですが、結果的にミッショントラブルで空回りしてしまいました。次戦こそは3台ともにポイントが獲得できるように準備していきます。